幻想のディンボチェ(5日目・6日目) ティンボチェをでると森の中を駆け下りていくシングルトラックだ。森を抜けると激流にかかる橋を渡る。流されたらガンジス川まで流されそうな勢いだ。パンボチェを過ぎオショーの平原にでる。これまでの険しい山道から一気に視界が開け、しかもゆるいのぼりだからバイクに乗っているのが楽しい。だんだんと低木の高山植物が増えてきて、厳しい気候の場所であることを思い出させてくれる。ひと時の安らぎだった平原をすぎ、しばらく上るとディンボチェの集落に着いた。 ここでまた高度順化に一日使う。もうここは標高4340mあるので気がつくと呼吸が速くなっているのがわかる。半日かけて、チュクン峰に向かって標高500mほど登り、そしてまたディンボチェのロッジに戻ってきた。天候が一瞬にして悪化、なんと雪になった。視界は20mもない。もう少し帰るのが遅かったら山の中でこの状態だったことを考えると怖くなった。コンパスを持っているとはいえ初めての場所だ。山をなめると怖い。 次の朝、天候を心配しながら外に出ると、集落全体が朝もやに包まれている。地表から霧がわきあがっているようで、石造りの家の輪郭をぼかしさらに周りの景色に同化していた。幻想的だ。